木目テクスチャ大作戦、その1。

2010年05月24日 22:15

ギターやベースをモデリングする際に避けて通れないのが木目のテクスチャマップ。
木目を捨てて派手な色にするのもいいんですが、それだけでは作れる物もすぐに限界がやってきます。
しかし、ギターやベースに使えるような大きな面積の板の写真って意外と少ないんですよね。

で、本当はジャズベを作るついでに研究するつもりだったんですが、
色々と盛り沢山過ぎたジャズベのリリース後にようやく落ち着いて作業を始めて行こうかなと。


ポーザーにも3Dテクスチャとして《Wood》なるものが用意されているのですが、
《ギター材》の再現としては全然使い物にならず、と言うか設定項目が少なすぎて
ポーザーのマテリアルのみでは僕の望むクオリティにならない、とすでに五年前に悟っています(笑)
クオリティはやや複雑なノードを組むことでそれらしくはなるのですが、
楽器用に使おうとすると色々と制約が出てくるわけで、楽器プロップ自体から見直さなくてはいけないことに。

そこで貧乏人の心強い味方、《Blender》の登場となるわけです。
フリーの3DCGソフトとしては充分過ぎるほどの高機能・多機能であることは皆さんご存知だと思われます。
操作感覚が独特だったりするのでちょっと思考の切り替えが大変かなぁとは思いますが、
自分が使えそうな機能だけでも覚えておけば損は無いと言うかむしろお得ですよね。

今回はBlenderにて木目を作ってそれをベイクしたものをポーザー用のテクスチャとして使ってみようという試み。
ポーザー歴はもう10年近くになるんですが、Blenderはインストールしたばかり。
いきなり《右クリック》で《選択》とかで馴染めずに泣きながら初心者向けサイトを参考に必要な操作だけ斜め読み。
Blenderでの作業部分は自分でも説明出来ないほどに雰囲気でやってますので詳しい工程はバッサリ割愛させていただきます。

んで、大作戦の本命はアッシュ材なんですが、どうにも上手く行かなかったので
まずはパラーメーターのクセを覚える練習、
なんとなくアルダーみたいな感じで始めたんだけどなんじゃこれ?みたいな(笑)

alderbody01_01.jpg alderbody01_02.jpg
ギター的なトップコートのツヤがあるとそれなりにごまかせてしまうのでツヤ無しと比較。
木目がデタラメでも破綻無くちゃんと繋がっているのでそういう木なのかな?と納得させられる。
フォトリアルな木目じゃなくても違和感さえなければちゃんと木と認識できるようになるんでしょう。
まだ違和感が多いですけどねー。

以下、個人的テクスチャメモ。
・まず、大まかに雲(Cloud)で木材の下地の色を決めておく。
・メインとなる木目(Wood)の密度や線の細さなどを調整。
同じ数値のWoodで木目のコントラストと明るさを変えたものを二つ重ねた方が木目らしくなる。
・ボロノイ(Voronoi)を細くまばらにしたものを配置。
・足りなければ数値を変えたボロノイをもう一つ追加。
・うるさくならない程度にノイズ(Noise)を薄めに。
ブレンドモードは基本的に全てミックスで。
ノイズ系は何度も調整していい具合に。
結局、毎回作りたい木材をよく観察しながらやってみないとわからないわけですな(笑)

そしてベイクレンダリングでテクスチャのみをベイク。
なるべく大きいサイズにした方が微妙な木目も鮮明なものになる。
テクスチャのみのベイクなので大きいサイズでも数秒あれば完了、
UVの境界線の外側に1ピクセル余分を作ってくれるのでテクスチャとして貼っても継ぎ目は出ない。

なんと素晴らしい。

もしかしたらポーザーのレンダリング設定によっては継ぎ目が出る場合もあるかもしれないけど、
いつものテスト用のレンダリング設定では全く問題なし。
よく似た色でもうちょっと余分を後から塗っておいた方がより確実だろうな。

今回は上記五個のテクスチャを全て有効にしてベイクしたものを一枚のテクスチャマップとして書き出しましたが、
下地、木目、ノイズ、と三枚別で書き出してからフォトショップなどで様子を見ながら合成した方がいいかも。
木材は塗装すると木目のコントラストが際立つのでそれらの調整をしやすいように別画像出力の方が賢いかな。
結局、楽器に貼るための木目を作るのが前提なのでBlenderでの通常のレンダリング結果は関係無い、
まずレンダ設定どころかライトもカメラも勉強してませんから(笑)
ベイクされたものを見て使えそうかどうかの判断をするだけで充分。
気に入らなかったら各テクスチャの数値を変えて何度もベイクするだけ。

こういったものをわざわざポーザーで使うための大きなテクスチャマップにすること自体、
何をやっているんだろう?とか疑問が頭を過ぎりますが、これしか良い方法が無いからしょうがない。
元手無しで(ここ重要)、破綻が無く継ぎ目の処理の必要無い木目のテクスチャを
色々な所が丸かったりえぐれてたり飛び出てたりするギターに違和感無く貼るためには今のところBlender一択。
D|Sの有料版にもベイクする機能は付いているようですが、どこまで自由度があるのかもわからないので買うに至らず。

alderbody01_03.jpg alderbody01_04.jpg
ま、ちょっと木目のヨレヨレが大きすぎてアルダーと言うより素性のわからない安物ベースみたいになっちゃってますが、
精進次第で満足する結果が出せるように感じますねぇ。
最初なのでテストと勉強の意味も込めて実際の木材にあまり拘らずに見た目の雰囲気だけで作りましたが、
今後は、切り出す前の丸太の状態を意識しつつどこで木取りをするか、などと考えながら作業すればもっと良くなりそう。
どこまでそれらしく見せることが出来るか、が今回の作戦の楽しいところ。
ヴァーチャルギタークラフトに《木材選び》という楽しみも見つけてしまった。

いいオモチャをゲットした。


参考リンク。
http://www.blender.org/download/get-blender/ Blender本体ダウンロード。
http://blender.jp/ 日本語のコミュニティ。
http://wbs.nsf.tc/index.html 初歩向け、基本機能・操作を学ぶためのチュートリアル。


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